愛艶婚~お見合い夫婦は営まない~



でも、こんな立派な旅館の社長息子だなんて……どんな人なんだろう。

会社のことは調べたけど、怖くて息子さんのことまでは調べられなかったんだよね。

お父さんが心配して結婚相手を探すくらいだ、ある程度の覚悟はしておかなければ。



かなりの年上だったらどうしよう。

見た目や中身が超個性的だったらどうしよう。



いや、でも相手がどんな人だろうともう決まってしまったこと。

私の取り柄は健康と前向きなところだ。

どんな相手だろうと、これも巡り合わせ。ならそれを楽しんでみせる!



胸の中でぐっと気合いを入れていると、前を歩いていた仲居さんが部屋の前で足を止めた。

それに合わせて足を止めると、彼女は障子の前に正座し室内に向かって声をかける。



「失礼いたします。副社長、杉田様がいらっしゃいました」

「どうぞ」



中からは、低く短い声が返ってくる。

それを聞いて仲居さんがそっと障子を開けると、目の前の和室にはスーツ姿の男性が座っていた。



栗色の柔らかな髪の彼は、高い鼻、薄い唇とひとつひとつがはっきりとしたパーツが小さな輪郭の中にバランスよく置かれた綺麗な顔立ちをしている。

にこりともしないクールな表情に、くっきりとした二重に暗めのヘーゼルの瞳が印象的だ。

日本人寄りではあるけれど、その顔立ちからハーフだろうかと察した。



こちらを見て一度立ち上がった彼は、細身のスリーピーススーツがよく似合う、すらりとしたスタイルだ。

身長は155センチの私より30センチは高い。足も長い。


まるで芸能人かのようなその見た目に、惚れ惚れと目を奪われてしまう。


  
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