呑みますか、呑みませんか。
まずは、常温で、楽しみたい。
「たしか……あたためたり冷やしたりして飲むものでもありますよね、日本酒って」
「一般的には割ったり氷を入れたりはしないが。ロックも新しい飲み方のようだな」
冬ならアツアツのがカラダの芯まであたためてくれて美味しくいただけそう。
ドラマなんかで、温泉旅館に泊まってる人が、おちょこで透明なお酒を飲んでいるシーンがあったりするが。
あれは日本酒などをあたためたものだろう、おそらくは。
一般的には熱燗、と呼ばれていたと思うが未体験。
「さあさ。タマキさんも」
「俺は……」
「やめておきます? 美味しいですよ」
「じゃあ。ひとくちだけ」
「はい!」
「つぶれたら。ごめんね」
かまいません。
タマキさん、すごく楽しそうにしてくれるから嬉しいのです。
「ほんとだ。飲みやすいな」
「でしょ?」
「なのに20%近いのは。恐ろしい」
すみません、いい男が日本酒相手に恐怖してるの真面目にキュンとしてしまいます。
「もう、けっこう、フラフラしてたり……?」
「頭ゆれてるな」
大変だあ……!!
「お水も、どんどん飲んでくださいね」
「ありがと」
今夜は、これ以上は、あまり飲ませない方がいいかな。
「気分。いいですか?」
「いいよ」
「よかったです」
「オギノさんもはやく酔っちゃいなよ」
照れ臭そうにいうタマキさんが素敵すぎて、別の意味で酔いそうなのですが。
「……敬語」
「へ?」
「会社じゃないんだから。使わなくていい」