住みますか、住みませんか。

 …………?


「さあ。先に乗って」


 座ったのは、タクシーの上座。

 羽鳥さんが使うべきシートでは?


「君が油断しきったところで、僕が豹変したら。君は。どうなっちゃうんだろう」

「え……」

 わたしの隣に羽鳥さんが乗り込んでこようとした、そのとき。


「――――とんだペテン師ですね。あなたって人は」


 大好きな声が聞こえてきた。

 ここにいるはずないのに。

 会いたくて幻聴でも聞いてしまったのか。


「俺が送ります」

「どうしているの、タマキ」


 ――――チヒロくん?


「知っていて飲んでいたんじゃないですか? 俺がここの近くにいること」

「さて。なんの話かな」

 チヒロくん、だ。


「とにかく降りて下さい」

「断る。……って言ったら?」

「申し訳ないですが殴ってでも止めます」


 チヒロくんが、いる。
< 24 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop