住みますか、住みませんか。
――――やってきました、玉置宅。
「ふーん。けっこう庶民的なマンションに住んでるね」
「庶民ですからね」
革靴を脱いでチヒロくんの家にあがる羽鳥さんは、吐く言葉こそ軽いが、立ち振舞いはとても上品で。
身に付けている時計や小物のセンスもよければ一つ一つが高級そう。
……お坊ちゃんなのかな?
「明日があるから。すぐに帰るよ」
少しも遠慮する様子なくダイニングの椅子に座った羽鳥さんが、ニタっと笑う。
「ところで君たち。ここのテーブルでヤっちゃったりしてるの?」
「ゲスい妄想はやめてください羽鳥さん」
チヒロくんが引きつった笑顔で羽鳥さんを見ている。
けど、心底嫌そうじゃないような。
やっぱり2人はある程度の信頼関係を構築していて、そうじゃなきゃ、ここまでお互いに干渉し合わない気がする。
「ショックだなあ。仕事一筋みたいな顔して同期の女の子ちゃっかりいただいてるなんて」
「それいうなら俺はあなたが取引先の女性、手当たり次第食ってることに引いてますから」
「手当たり次第じゃないよ? 気に入った子だけ」
「まったく……」
「責めないの?」
「なにをですか」
「君の彼女が僕とデートしてたことについて」