ゾーイ・テイラー〜終幕、のちにキス〜
「殺した……大切な人を……殺した……」

ゾーイはうつむき、呟き始める。それを見てユミルは満足げに「あたしが憎いだろ?殺したいだろ?」と言った。ロネたちは静かにゾーイの様子を見守る。

「ああ、とても憎い。今すぐ地獄に突き落としたいくらいに!!」

ゾーイは顔を上げ、叫び声を上げる。その手にはいつから握られていたのか鋭いナイフがあった。

「まずい!」

「ゾーイ!」

ネイサンとナタリーが慌ててゾーイを止めようとする。しかし、ロネは「待って」と二人の腕を掴んだ。

「ロネ、何してるの?ゾーイを止めないと!」

ナタリーが焦る。しかし、ロネは冷静に「ゾーイを信じよう」と言った。ゾーイは人を殺さない、そうロネは確信しているのだ。

「わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

狂ったように叫びながら、ゾーイはユミルに向かって走っていく。ネイサンは目を見開き、ナタリーは悲鳴を上げた。ユミルは満足げな顔をして、ロネはゾーイに心の中で語りかける。
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