冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい


「応援を数人連れて来たから、テントの仲間も全員無事だ」

「よかった。でも、前線は大丈夫なのですか?」

「心配いらない。アスランの統率と騎士達の活躍で今はアルソートが優勢なんだ。それに、俺の仕込んだ策がうまくいけば、数日中にケリがつく」


戦いの終わりはすぐそこまで来ていたのだ。傷つく人が増える前に平和な世界に戻ってほしい。

それにしても、“仕込んだ策”って?

隣国兵の侵攻をただ食い止めているように見えた数日の戦いの裏で、なにが動いているのだろう?


その時、気配を察したレウル様が背後を見た。

周囲に現れたのは、追っ手の残党だ。陛下は私を背に隠して腰の剣へ手を伸ばすが、視界に映ったのは突きつけられる銃口。

まさか、陛下をここで撃ち殺すつもりなのか?

応援に駆けつける味方はいない。いくら鍛錬を積んだレウル様といえど、剣一本では不利だ。

思わず、銃口から庇うように抱きついた。相手に背を向ける無防備な姿。もはや捨て身ともいえる抵抗に、レウル様も目を見開く。


『万が一のときは陛下の命が優先されるに決まっています。私はあなたがいてこそ存在価値があるのです』


そう告げた時、“自分を大切にしなさい”と怒られた。迷いなく“盾にはさせない”と言っていた。

でも、私を大事にしてくれるのと同じように、私もあなたが大切なんです。

この人だけは殺させない。


ーーパァン!パァン!

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