冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい
覚悟の込められたセリフが胸を打つ。
ここからが本当の戦いだ。
証拠を武器に国際的な場で不正を認めさせられれば、アルソートは完全に守られる。
強く頷くと、陛下は使者に連れられ歩き出した。不思議と心は落ち着いていて、不安はない。
大丈夫。きっと陛下は、アルソートの汚名を晴らして帰ってくる。この事件の首謀者も、真の目的も、全てあきらかになるはずだ。
「お前ら、まだやる気か?」
アスランが威嚇したのは隣国兵だ。
すっかり敵意をなくしたような彼らはアルソート騎士団長の圧におされ、そそくさと退散していく。
さっきまで殺されそうになっていたのが嘘みたい。
「大丈夫か、お嬢さん」
気づかいながら顔を覗き込んだアスラン。
力強い味方の存在を実感して、緊張が解けた。
「えぇ、大丈夫よ。来てくれてありがとう」
「いや、無事でよかった。帰ろう、アルソートに」
こうして、四日間に及ぶ攻防戦の幕が降り、私は騎士団と共にアルソートへ帰還した。
城で出迎えたエルネス大臣は安堵の表情を浮かべており、カリーヌら使用人の顔を見ると、ほっと安心感が広がった。
あとは、サメノア国に向かったふたりがアルソートの潔白を証明し、無事に帰ってくるのを祈るだけだ。