冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい

覚悟の込められたセリフが胸を打つ。

ここからが本当の戦いだ。

証拠を武器に国際的な場で不正を認めさせられれば、アルソートは完全に守られる。

強く頷くと、陛下は使者に連れられ歩き出した。不思議と心は落ち着いていて、不安はない。

大丈夫。きっと陛下は、アルソートの汚名を晴らして帰ってくる。この事件の首謀者も、真の目的も、全てあきらかになるはずだ。


「お前ら、まだやる気か?」


アスランが威嚇したのは隣国兵だ。

すっかり敵意をなくしたような彼らはアルソート騎士団長の圧におされ、そそくさと退散していく。

さっきまで殺されそうになっていたのが嘘みたい。


「大丈夫か、お嬢さん」


気づかいながら顔を覗き込んだアスラン。

力強い味方の存在を実感して、緊張が解けた。


「えぇ、大丈夫よ。来てくれてありがとう」

「いや、無事でよかった。帰ろう、アルソートに」


こうして、四日間に及ぶ攻防戦の幕が降り、私は騎士団と共にアルソートへ帰還した。

城で出迎えたエルネス大臣は安堵(あんど)の表情を浮かべており、カリーヌら使用人の顔を見ると、ほっと安心感が広がった。

あとは、サメノア国に向かったふたりがアルソートの潔白を証明し、無事に帰ってくるのを祈るだけだ。

< 138 / 196 >

この作品をシェア

pagetop