冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい
そして、状況が動いたのは三日後だった。
アルソート城に、商船炎上事件の疑惑が晴れた趣旨の書簡が届いたのだ。送り主はサメノア国であり、裁判の勝利を表していた。
その情報はすぐに国内に広まり、名誉と秩序が保たれたことで、アルソートのために尽力したレウル様に対する称賛の声が上がるキッカケとなったのである。
そして王都に避難していた国境の町の住民たちも無事に元の生活に戻り、再び平穏が訪れた。
書簡によると、首謀者は隣国のハルトヴィッヒ王であり、レウル様を王座から引きずり下ろして革命以前の属国関係に戻そうと画策していたようだ。
しかし、この期に及んでハルトヴィッヒ王は「私は“あの男”にはめられただけだ」という主張を繰り返しているようで、真相はさらに時間をかけて究明する必要があるらしい。
『これからアルソートに帰るよ』
事情聴取や裁判の事後措置、書類の提出などに追われ、帰国の目処がついたのは、書簡が届いてから三週間経過した頃である。
サメノア国から電話をかけてきたのはレウル様だった。受話器越しに聞こえる声に胸が高鳴る。
ずっと声が聞きたかった。早く顔を合わせて、おかえりなさいと言いたい。ふたりきりのときにしか見せない表情で名前を呼んで欲しい。
少し会話を交わしただけで気持ちが溢れた。
『ランシュア。早く会いたい』