冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい
こぼれた本音。
機関の固定電話を借りているのだから、周りに職員がいるはずで、もしかしたらドレイクさんも聞いているかもしれないのに。
戦地での交戦の後に連日連夜のやり取りで休む暇もなかったのだろう。決して隙を見せない完璧超人の彼があんなセリフを言うなんて、相当お疲れだ。
通話を切った後、エルネス大臣とアスランが電話の内容に興味津々であったが、「今から帰るそうです」としか言えなかった。
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「陛下は、そろそろアルソートに着く頃でしょうか?」
昼食を終えた頃。私の部屋で、専属メイドであるカリーヌが窓の外を眺めながら呟く。
手配した馬車で帰路に着いているらしいふたりは、いくつかの宿を中継しながらアルソートに向かっているようだった。カリーヌの言うとおり、距離で考えるとサメノア国から三日もあればアルソートの領土に辿り着ける。
今日の夕方ごろには会える予定だった。
その時、トントントン!と部屋の扉を叩く音が響く。どこか焦ったような音に視線を向けると、返事の前に勢いよくエルネス大臣が顔を出した。
額には汗をかいていて、思わずドキリと心臓が音を立てる。
「どうされたんですか、エルネス大臣。そんなにあわてて」
「ランシュア様。早急にお伝えしなければならない話がございます。どうか落ち着いて聞いてくだされ」
ただならぬ雰囲気に胸がざわめく。
すると、大臣は想像を遥かに超える一言を発したのだ。
「レウル陛下が撃たれました」