冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい
ダルトン=クロウィドは先代の王の弟。叔父ならば適合する確率は十分高い。
希望が見えたと思ったその時、控え室の扉が開いた。そこに立っていたのは黒い髭を蓄えた男性。ちょうど話題に出ていた彼だ。
「ダルトンさん!」
名を呼ぶと、無言のまま顎を引いたダルトンさんは静かにこちらへ視線を向ける。
以前は不仲そうな気配を感じたが、やはり、血の繋がった親族のためなら駆けつける人情はあるらしい。
「ダルトンさん、お会いできて良かったです。エルネス大臣から連絡を受けたのですか?」
「えぇ、その通りです。甥が生死の境を彷徨っていると聞いたものですから、飛んで参りました」
感情の読めない低い声。
焦る気持ちを押し込め、状況を説明する。
「実は、出血がひどくて意識が戻らないままなのです。病院内の輸血の確保量にも限りがあるそうで、献血が有効ではないかと話になっていて」
「なるほど。たしかに、少量の献血だったとしても、輸血が届くまでの時間稼ぎにはなるでしょうね。献血者が見つかれば良いのですが」