冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい


まるで他人事のように答えるダルトンさんに痺れを切らしたのはドレイクさんだ。

獰猛な翠の瞳が鋭く睨む。


「ずいぶん冷たいな。あんたがこの中で唯一陛下の親族だろ。対立してきた甥を助ける気はないってか?」

「ふん、久しぶりに会ったと思えば相変わらず噛みついてきますね。これだからレウルの犬は。期待に添えず残念ですが、献血には協力できませんよ」


想像していなかった返答に動揺が抑えきれない。

今まで黙ってやりとりを聞いていたアスランも、嫌悪感を隠しきれず声を上げた。


「協力できないとは本気ですか?一体どうして」

「私は兄と同じA型ですので、母方の血液型を継いだB型のレウル陛下には適合しないのですよ」


たしかに親族だからといって条件に当てはまるというわけではない。この瞬間、私も献血者から除外されてしまった。

前髪をかき上げたアスランは、無意識に漏れたように呟く。


「せめて、王妃が生きてくれていれば」


そのセリフに、ぞくりとした。

何か、嫌な胸騒ぎがする。胸にこみ上げてくるのは得体の知れない不安感。

すると、その輪郭をはっきりさせるかのように、ダルトンさんの低い声が部屋に響く。


「あぁ、それも不可能でしょう。たとえ王妃本人が生きていたとしても、私や兄と同じくA型の彼女には、レウル陛下を救う力がないでしょうからね」


アスランとドレイクさんが同時に顔を上げた。

その言葉を聞き、違和感に気づく。


まさか、“知っている”?


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