冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい
全ての音が聞こえなくなった。
それはドレイクさんもアスランも同じようで、まるで魂が抜かれたように固まっている。
「今の、どういう意味だ」
ドレイクさんの声は嫌悪に尖っていた。
到底信じられない、といったトーンだ。適当な話でかわそうとしていると考えたようで、沸点を優に超えている。
しかし、震え上がるほど威圧感のあるドレイクさんを前にしてもダルトンさんは引かなかった。
それどころか、不敵な笑みを浮かべている。
「言葉の通りですよ。レウル陛下は、王族ではない女の血を引いているというだけ。もっとも、実母も亡くなっているようですから親族からの献血は望めませんね」
「いい加減にしろ。こんな状況でふざけるな」
「信じられない気持ちもわかります。優秀な情報屋なら、戸籍謄本でも調べてはいかがですか?自分の目で見れば納得できるでしょう」
強気の態度に、ハッタリではないと悟ったふたり。それは、今まで信じてきたものが全て崩れ去った瞬間だった。
陛下に王位継承権がないと知られてしまった。レウル様が最も恐れていたことが現実になってしまったのだ。
それも、一番最悪なタイミングで。