冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい
「あの男は、かりそめの王を演じながら、国民から巻き上げた税金で甘い汁をすすってきた。豪華な城で裕福な暮らしをして、自らの出生を知っていながら臣下を欺いていたのです」
畳み掛けるようにダルトンさんは続ける。
「兄も、その息子も、国民に寄り添うフリをして、汚い部分に気づかれないように外堀を固めてきただけ。所詮は、ただの偽善者だ。革命を成し遂げた英雄の息子だからって、純粋に崇めるのがおかしいのです」
「それは違います」
つい、声が出ていた。
じろりとこちらを見るダルトンさんを、まっすぐ見つめ返す。
「レウル様は、本気で国を束ねる責務を全うしようとしてきました。たとえ、嫡男ではなかったとしても、誰よりも王に相応しい人です」
「懐柔されてしまった婚約者の話など、誰も耳を貸しませんよ。今や、アルソート国全域に真相が伝わっているでしょうから」
なんだって?
ダルトンさんが胸元から出したのは、新聞の号外記事だった。紙面には大々的にレウル様の出生が記されており、実母の写真まで掲載されている。
「これは……」
「調べたんですよ。臣下や国民の目を覚まさせるためにね。私は長年疑問に思ってきたのです。王妃は子を身ごもっている様子はなかったのにもかかわらず、一夜にして赤子が城にやって来た。そんな話、あるわけがない」