冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい

どことなく緊張感の漂う会話。

先ほどまでは自然に顔を綻ばせていた陛下も、仮面と呼ぶべきいつもの微笑を浮かべている。親戚同士の確執はあまりわからないが、両者が王座をめぐって対立する立場にあるのだと理解できた。

ちらりとダルトンさんがこちらを向く。


「見ない顔ですね。あなたが今の妃候補ですか?」

「はい。初めましてランシュアと申します」

「ははは。そうかたくならないで良いですよ」


優雅に目を細めるダルトンさん。

“今の”と口にした時点で、陛下が妃候補を次々と追い出していると知っているようだ。私を短期的な存在だと認識したのだろう。すぐに興味をなくしたように視線が逸らされる。


「そうそう。ささやかですが、手土産がありましてな」


一本の瓶を差し出された。ラベルには薔薇のプリントが施されており、近くのテーブルに置かれていた新しいグラスに淡いピンクの液体がとくとくと注がれていく。


「これは年代モノの薔薇酒なんです。いい色でしょう?陛下にぴったりだと思いまして」


レウル様がわずかに眉を寄せた。

その仕草をみて即座に理解する。ダルトンさんは単純な厚意で持ってきたわけではない。“青い薔薇”という異名を揶揄(やゆ)して土産を選んだのだ。

さぁ、刺を見せてみろ。そう言わんばかりの思惑がうわべの笑みに透けている。

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