冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい
ここで突き返したらどうなる?
国民の前で王族が不仲であるという印象を植え付けるのはマイナスだ。波風を立てるのも控えるべきだろう。
それに、レウル陛下はグラスを差し出されたとき一瞬顔がこわばっていた。もしかしてアルコールが苦手とか?そういえば、食事中にお酒を嗜む姿は見たことがない。
「あの」
気づけば無意識に声を出していた。
ダルトンさんだけでなく、レウル様も驚いてこちらを見る。
「その薔薇酒、私がいただいてもよろしいでしょうか?」
ふたりはこの展開を予想していなかったらしい。
だめだとも言えない様子で手渡され、口をつけた。熱いアルコールが喉を通る感覚を感じながら勢い任せにごくごくと飲み干す。
数秒かかって空になるグラス。
ぷはっと小さく息をすると、口の中に甘いリキュールの風味と薔薇の香りが広がる。
あ。これ普通に美味し……
と、アルコールを感じた次の瞬間。流れるように目の前に影が落ちた。近づいてきたのがレウル様の綺麗な顔だと理解した途端に唇が重なる。
え?
思考停止。
ちゅっとリップ音を立てて離れた彼は、軽く唇を舐めて微笑んだ。
「あぁ、思ったよりも甘いんですね。気に入りました。ありがたく頂戴します」