冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい
今のは何?
現場を目撃した周囲の人々は、こちらに目が釘付けになっている。揺さぶりをかけるように酒を渡したダルトンさんも斜め上からの反撃に言葉が出ないらしい。
やがてエルネス大臣を呼びつけたレウル様は、薔薇酒を預けて私の肩を抱いた。
「すみませんが、彼女が酔ってしまったようですので席を外します。長旅でお疲れでしょうから、ごゆっくりお休みください」
見事なロイヤルスマイル。
その足はまっすぐバルコニーへと向かっていた。ひんやりとした外の空気が肌を撫で、賑やかな夜会の声を背に立ち止まる。
肩から手を離されて隣を見上げると、綺麗なターコイズブルーの瞳と目があった。
形が良い唇も同時に視界に映り、動揺のあまり言葉が見つからないまましばらく見つめ合う。
「悪いな。勝手にキスして」
沈黙を破ったのはド直球なセリフ。
体温が上昇して、つい視線を逸らす。
「えっと、あれはお酒の味を確かめたかったんですよね?」
「いや。俺を必死で庇おうとしてる君が可愛くて」
「へっ?」
「って、言ったらどうする?」