冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい


その時、レウル様は一瞬だけホールへと視線を向けた。そして何かを気にする素振りを見せた後、顔色ひとつ変えずに手の甲で私の首筋を撫でる。

ドレスから覗く肌に直接触れられて胸が鳴った。


「体、まだ温かいな。部屋で酔いを覚まそうか」

「部屋ですか?バルコニーでも十分風が気持ちいいと思いますけど」

「ここじゃあ人目が多すぎる。ふたりになりたい」


どういう意味?

この人はまたからかっているの?

顔をしかめて見上げたものの、その視線はさらりと受け流され、手を引かれながらバルコニーを後にしたのだった。


**


「はい、水」

「すみません。ありがとうございます」


透明のグラスを差し出され、おずおずと受け取る。

誘われるがまま陛下の部屋に来てしまった。なんだかんだ足を踏み入れるのは三回目だが、今回は状況が違う気がする。


「夜会を抜けてきても良かったんですか?」

「交流はだいぶできたし、君を放ってはおけないから」


お互いソファに腰掛け、沈黙が流れる。意図が見えない以上、どうすれば良いのか正解がわからなかった。

なんとか会話を振って間を持たせなくては。

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