冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい
その時、レウル様は一瞬だけホールへと視線を向けた。そして何かを気にする素振りを見せた後、顔色ひとつ変えずに手の甲で私の首筋を撫でる。
ドレスから覗く肌に直接触れられて胸が鳴った。
「体、まだ温かいな。部屋で酔いを覚まそうか」
「部屋ですか?バルコニーでも十分風が気持ちいいと思いますけど」
「ここじゃあ人目が多すぎる。ふたりになりたい」
どういう意味?
この人はまたからかっているの?
顔をしかめて見上げたものの、その視線はさらりと受け流され、手を引かれながらバルコニーを後にしたのだった。
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「はい、水」
「すみません。ありがとうございます」
透明のグラスを差し出され、おずおずと受け取る。
誘われるがまま陛下の部屋に来てしまった。なんだかんだ足を踏み入れるのは三回目だが、今回は状況が違う気がする。
「夜会を抜けてきても良かったんですか?」
「交流はだいぶできたし、君を放ってはおけないから」
お互いソファに腰掛け、沈黙が流れる。意図が見えない以上、どうすれば良いのか正解がわからなかった。
なんとか会話を振って間を持たせなくては。