冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい
ドクン!と心臓が高鳴る。体が熱い。きっと、それはお酒のせいじゃない。
酔いを覚ましにきたんじゃなかったの?こんなの逆効果だ。
それに、愛のないビジネスパートナーはここまで望んでいない。お互いそれを重々承知しているはずなのに。
どうして良いかわからずに体を縮こませると、耳元でささやかれる。
「いい子だ。そのままじっと動かないで」
予想外のセリフに動揺していると、ジャケットの胸元から出てきたのは鋭い短剣。
物騒な代物に目を見開くと、彼は一点を見据えて流れるように投げつける。ドッ!という鈍い音とともに勢いよく扉に突き刺さる短剣は貫通しているようだ。
なにが起こったの!?
状況に頭が追いつかないでいると、レウル様はソファから離れて扉へ向かった。引き抜いた短剣の刃を見つめて顔をしかめる。銀の切っ先に血の跡はない。
「仕留め損ねたな。大人の胸の高さを狙ったはずだったのに」
混乱の中、起き上がってその様子を見ていると、視線に気づいた彼はさらりと言った。
「あぁ、すまない。無粋な密偵が尾行をしてきたから油断させて始末しようとしたんだけど、逃がしたみたいだ」
「密偵?」