冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい
心を見透かされ、うろたえる。
くすくすと肩を揺らした彼は優しく頭を撫でた。
「かわいいな」
「からかうのはやめてください。もう演技をする必要はないはずです」
「今のは演技じゃない。本当にそう思った」
相変わらずのらりくらりとかわされる。振り回されてばかりだ。
「いいんですか?逃げた密偵を追わなくて」
「夜会でゲストが多くいる今、下手に騒ぎを大きくしないほうがいい。誰の差し金かもわからないうちは特にね。国民に不安を与えてはいけないから」
たしかにその通りだ。おそらく短剣の威嚇だけでも相当効いているだろう。一歩間違えば心臓を貫かれていたのだから。
本当にこの陛下は容赦がない。
「この件はちゃんと後日調べるよ。巻き込んで悪かった。これからは危険な目にあわせないように気をつける」
「いえ、大丈夫です。お役に立てるように努めますので、何でもおっしゃってください。いざというときは盾になりますから」
これはビジネス。虫よけ以外にも利用価値があるのなら使ってほしい。正式な妃ではない私が城にいられるのはこの人のおかげだ。少しでも力になりたい。