冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい
しかし、陛下はいつもの本心が見えない微笑の仮面をつけ、柔らかく答えた。
「冗談だろう。盾になんかさせないよ。君は俺に守られる側だ」
「とんでもありません。万が一のときは、陛下の命が優先されるに決まっています。私はあなたがいてこそ存在価値があるのです」
「困ったな。養育環境の影響で根づいたものは簡単には変わらないのかもしれないけれど、君はもう少し自分を大切にしてくれ。俺はひとりで片付けられる範囲なら、誰も巻き込まないで対処できるから」
あたり前といったような口ぶり。今までも、そうしていくつもの危機を乗り越えてきたのだろう。決して他人に頼らず、全てひとりで抱え込んで。
やはり、偽物の妃には本音をこぼしてくれないんだ。信用されていないのかもしれない。手慣れたように短剣を鞘に戻す姿が遠く感じて、なぜか心が痛む。
最近わかってきた。彼は人のことを言えないほど自分をないがしろにしがちだと。もう少し私が頼れる存在だったなら、気を許してくれただろうか。
モヤモヤと考え込んでいると後頭部に手が回った。ソファに座る私の額に、ちゅっと軽く唇が触れる。
「ひゃっ」
「隙だらけ」
「な、なにを」
「盾になろうだなんて考える前に、護身術でも身につけなさい」
子どもをあやすように諭され、ただ眉を寄せることしかできなかった。