冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい
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「稽古をつけてくれ、だって?」


翌日。

休憩を見計らって騎士団の訓練場に足を運ぶと、団長のアスランは目を丸くした。


「レウル様から護身術を身に付けるように言われたから、気が向いたら特訓に付き合ってほしくて。騎士団長さんに頼むのも申し訳ないけど」

「ほぉ、なるほど。んー、陛下が本気で言ったとは思えないけどなぁ」


腕を組んで唸る彼。

城に呼び戻されて以降、仕事が見つからずに部屋で過ごすのも申し訳なくて、言われた通り体を鍛えようとしたものの、初手でつまづいている。

試しにちょっとパンチしてみなと言われ、アスランの掌に向かって攻撃するが「猫だなこりゃ」と笑われた。


「妃に武力なんて必要ないだろ。お嬢さんは盾となって戦うんじゃなく、あの方の傷を癒せる存在なんだからさ」


諭すように言われたものの、今の私は傷さえ見せてもらえないのだろう。未だ出会った日と変わりない。利害の一致だけで側にいるのを許された偽物の妃なのだから。

つい、しゅんと肩を落とす。

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