冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい
誰もが憧れる騎士団長が目標にするなんて、相当腕の立つ人物なのだろうか?
興味を惹かれて聞き入ると、アスランは遠い眼差しで続ける。
「革命の最中、先代の王が拠点にしていた小屋が、反革命軍に囲まれたときがあってな。そんな絶体絶命の状況で、ひとりの戦士が囮をかってでたらしいんだ。先代の王と同じブロンドの髪をもつ自分は敵を惑わすことができるって」
「まさか、自分を狙わせて仲間を逃がそうとしたの?」
「あぁ。その後、彼は銃弾を受けて命を落とし、生き延びた先代の王は革命を成した。肩書きも持たない末端の戦士が国の未来を救ったんだ。今じゃその人の名前もわからないが、ウチの騎士団には英雄として語り継がれているんだよ」
とても現実とは思えない。囮をかってでた戦士も身代わりにすると決めた王も、本心はどんなに苦しかっただろう。
アスランは革命に命をかけた全ての人に敬意を払い、石碑をこまめに清掃しているらしい。
バケツに水を溜める姿を見て、つい声が出る。
「アスラン。その掃除、私がやってもいいかしら?」