冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい
まるで道端の石とでも言うように石碑を見つめた彼は、吐き捨てるように続ける。
「そんなもの、残したところで価値などありませんよ。あの革命はアルソート国内に負の遺産を多くのこし、民の意見を聞くようになった国家は脆弱になった。平和ボケしてレウル陛下を慕う人々は、掌の上で転がされていると気づいていないだけなのに」
なんて刺のある言い方なんだ。
冷めた瞳は震えるほど恐ろしく、得体の知れない不安が募った。猛毒を持った蛇が足元を這うような緊張感に、少しも気を抜けない。
「レウル様は良い国を作ろうと尽力されています。決して民を思い通りに動かそうとはしていません。あの人はいつだって誠実です」
私の言葉に視線を合わせた彼は、嘲笑ぎみに口角を上げる。
「ずいぶんと知ったような口ぶりをなさる。あの男は所詮、父を模倣して威厳のある君主を演じる若輩者にすぎません。いわば見せかけの王でしょう。ペンキを塗って外見をつくろった薔薇のようです」
荒れ果てた薔薇園を目で指し、冗談まじりにののしるダルトンさん。
侮辱する発言がここまでスラスラ出てくるなんて思わなかった。