冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい


「そういえば、ランシュアさんの素性を少し調べさせていただきました。ご実家ではずいぶんとひどい扱いを受けていたようですね。雑用をかってでるのも染み付いた習慣のせいですか?」

「どうしてそんな話を」

「親族になるかもしれない人間を知ろうとするのは当然の行いですよ。あなたは火事で両親を失い、背中にも大火傷を負ったそうですね。さぞ辛い思いをしてきたのでしょう。レウル陛下の側にいるのも、孤独な王と自分を重ねて同情しているだけなのでは?」


怖い。この人は全てを知っている。

遠回しに、お前は王家に嫁ぐのに相応しくないから出て行けと言っているのだろうか?釣り合っていないのは自分が一番よくわかっている。

だが、気圧されて逃げてはだめだ。


「私は同情でここにいるわけではありません。中途半端な優しさほど、あの人は嫌うと思います」


眉を寄せるダルトンさん。

まっすぐ見つめ返した私は、臆したりしない。


「私はただ、力になりたいだけなのです。必要とされ続ける限り、離れるつもりはありません」


鋭い視線に貫かれた。

まずい。気に障ったか?

目上の立場である彼に反論するのは良くなかったかもしれない。恐怖で血の気がひき、指先が震える。

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