冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい
「ダルトンさん。そろそろ駅に向かわないと列車を逃してしまうのでは?」
険悪な雰囲気に包まれたその時、凛とした声が響いた。
ダルトンさんの背後から仲裁に入ったのはレウル様だ。なだめるようなセリフに空気が変わり、怒りをしずめたらしいダルトンさんは、うやうやしく頭を下げる。
「これはこれは、わざわざ声をかけてくださるとは。城を出る途中でランシュアさんを見かけて、つい話に夢中になってしまいました」
「なるほど。ゆっくりできないのは残念ですが、予定が狂うと次の隣国への直通列車まで一時間は待つはずですよ」
「あぁ、それは大変だ。ご忠告ありがとうございます」
こちらを一瞥して去っていく背中。黒のローブを身にまとったシルエットが門の向こうに消えた後、一気に肩の力が抜けた。
怖かった。レウル様が来ていなかったらどうなっていただろう。
隣へ歩み寄った彼は静かに口を開く。
「大丈夫か」
「はい、すみません。ダルトンさんにとても失礼な態度をとってしまって」
「いや、気にしなくていい。……驚いた。君があの人に言い返すとは思わなかったから」