冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい
肩に置かれた手に自分の手を重ね、ゆっくりと掴んで胸の前で握る。
見開く青い瞳は、まっすぐこちらを映していた。
「言葉のトゲで自らを傷つけるのは良くないですよ。たとえ見せかけの王だと言われても、私はそのままのあなたの輝きを知っていますから」
きっと、臣下も国民もみんなそう。
悪い噂を鵜呑みにする人や青い薔薇を畏怖して距離を取る人がいようとも、それ以上に信じてついていく人がいる。
即位して五年。今なら、冷酷非情の陛下を演じ続けなければならなかった理由が理解できる。少しの油断が国交断絶の危機に繋がるような世界に身を置く以上、威厳のある国王でなければ食われてしまうのだろう。
その時、きゅっと指が絡められた。
「レウル様?」
戸惑いながら名を呼ぶと、無言の彼は何かを考え込むようにまつ毛を伏せる。
「……“そのままの俺”か」
ぽつりと呟いた後、軽く手を引かれた。
「少し話をしたい」
初めて見るような表情。
なぜだか、断ってはいけない気がした。
時間をもらってアスランにバケツと雑巾を返した後、ワンピースに着替えて彼の元へ急ぐ。