冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい

それは偽りのない本心だった。

彼は厳重に心の鍵をかけていて隙がなく、まるで人間味を感じない完璧な君主。周りに見せないだけで、人知れず苦労しているのだろうと容易に想像がつく。

そこに愛や信頼なんてものがないとしても、心落ち着く場所になれたらいい。密偵に命を狙われようとも構わない。

私の生きる意味は彼がいてこそ。

レウル様はこちらの心情を察したらしい。偽りがないと伝わったのか、覚悟を決めたように告げた。


「君に見せたいものがある」


テーブルの上に置かれたのは一枚の写真だ。色あせた現像はとても古いようで、ひとりの女性が写っている。

栗色の長い髪に、目鼻立ちのはっきりとした美人は、どこか見覚えのある微笑を浮かべていた。

心当たりの正体に気付いて顔を上げると、宝石のようなターコイズブルーの瞳と目が合った。それは写真の女性と全く同じだ。顔立ちも見れば見るほど似ている。


「あの、この方は?」

「俺の母親。一度も会ったことはないけどな」


その言葉の意味が最初は理解できなかった。

先代の王妃は体が弱く、表に顔を見せなかったとはいえ、城に飾られた肖像画は王と同じブロンドの髪だった。瞳の色もグレーに近く容姿も別人。ましてや、側室なんて持っていない。

混乱の中、核心をつくセリフが耳に届く。


「俺は、愛人の子なんだ」

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