冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい
冷静な声。淡々と説明する様子は、自分の身の上話を語っているとは思えない。
「もしかして、私が薔薇園で怪我をしたときに血相を変えていたのも、薔薇酒を避けようとしたのも、それが原因なのですか?」
「少なからずトラウマになっているのかもしれないね。自分の異名さえ、何かしらの因果を感じるよ」
過去の事件の当事者である先代の王や、事情を知っていたかもしれない王妃は病死したため、もうこの世にいない。しかし、未解決事件の犯人は今もどこかに潜んでいるかもしれないのだ。
「臣下の方々はご存知で?」
「いや、エルネスにも伝えていない。こんな話、スキャンダル以外のなにものでもないからな。王位継承権を持たないはずの愛人の子は、言葉通り国のトップに立つ資格がないんだ。話せるわけがないだろう」
ドクン!と心臓が鈍く音を立てる。
これは本当の話?
先代の王は、後継ぎとなるお子さんが生まれなかったから、レウル様を引き取って嫡男だと発表したのだろうか?それを王妃は黙って受け入れたの?