冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい
これは、初めて聞く本音なのだろうか?
世界で誰ひとりとして知らない素顔を見せられたら、もっと離れられなくなる。
憂いを帯びた表情はひどく弱々しかった。まるで悪いことをした子どもが相手の反応を不安げにうかがっているようだ。
そんな顔をしないで。あなたが必要とするなら、秘密を共有するのを許してくれるなら、その望みを叶えてあげたい。
いつのまにか、ぽろりと涙が溢れた。頬をつたう滴に向こうも驚いて目を見開く。
「すまない。急にこんな話をされたら困るよな」
「違うんです。レウル様の気持ちを思ったら抑えきれなくて」
『俺もよく思うから。自分は生まれてきてはいけなかったって』
東棟の浴場でのぼせた夜に告げられたセリフ。あの時はその言葉にどんな意味があるのかは想像もできなかった。
今なら、ただの同情で投げかけられたのではないとわかる。この人は自分の存在を否定し続けてきたのだ。
『君は誰よりも素直で強い子だ。今まで、ずっとひとりで頑張ってきたんだろう?』
その温かい言葉で救われたように今度は私が支えたい。親しい臣下にも言えず、ひとりで過去を背負って生きてきたこの人になにをしてあげられるだろう?