冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい
「私にはあなたがそんな人だとは思えません。過去を言わないのも保身のためではなく、責任を持って王の職務を果たしたいと思っているからではありませんか?」
「否定はしないよ。俺は王だから、かりそめの王だからこそ、民の理想でなければならない。……でも、もしも人々が血筋だとか出生だとか関係なくレウル=クロウィド自身を王として認めてくれたら、俺はもっと自由になれるのかもしれないな」
休む間もなく公務をこなして臣下や国民と交流をし続けていたのは、自分を認めてもらうためだったんだ。初めて会った時から隙がなく、“完全無欠で疲れそう”だなんてカリーヌにこぼした自分が恥ずかしい。
この人は覚悟を持って強くあろうとしてきたのに。
気持ちがうまく伝わるかはわからないが、少しでも心に届けと、懸命に感情を言葉に乗せるしかなかった。
「私を無理に信じようとしなくていいんです。もしも情報が漏れるのが不安なら、口封じをしても構いません。レウル様が手を伸ばしてくださるのなら、いつまでもあなたの側にいます」
はっと見開かれる青い瞳。
空気が変わるのを感じる。
抱きしめられたと気づいたときには、すでにすっぽりと腕に閉じ込められていた。
シャツ越しに、彼の体温と、ほどよく厚い胸板を感じる。ふわりと香るレウル様の匂いは、石けんのような爽やかさがありながらも甘く、思考が溶けそうだ。
たくましい腕が背中にまわり、抱き込んだまま離す気配がない。
今、なにが起こっているの?