冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい

青い瞳が閉じた瞬間、流れるように唇を奪われた。薔薇酒の味見でかすめとられたときとはまるで違う。

逃がさないとでも言わんばかりに後頭部を包み込んだ指は、ゆるく髪をといている。角度を変えてキスの雨が降り、こちらは呼吸もうまくできない。

加減しながらも重ねられる口づけはだんだん糖度を増していき、唇を甘く噛まれ、時折熱い舌が触れる。

全身の力が抜けて、頭の中がふわふわする。こんなの知らない。

後退りをすると書斎のテーブルに腰が当たった。それを察したレウル様は、閉じ込めるようにトンと片手をつく。まるでオオカミに捕まって自由を奪われたウサギだ。

これ以上は、もう無理。

小さな水音とともに離れた呼吸の隙をみて素早く手のひらで制すと、彼は穏やかに目を細めた。


「俺が口を封じられてしまったな」

「冗談はやめてください!いきなりこんな……っ」

「口封じをしてもいいって言ったのは君なのに」

「違います、それは情報を漏らさないように始末しても良いという意味で」

「そんなことをするわけないだろう?」


身をよじって距離を取りながら口元を制していた手を離すと、囲うようにテーブルへ両手をついたレウル様は、色香を帯びた視線を向ける。


「君の心が欲しくなった」

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