【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「そんな戯言、俺が信じると思うのか?」
銀髪男の手が二の腕に食い込む。
チクリと痛みが走る。
「そうか。お前はそんなに死に急ぎたいんだな」
白坂くんは鋭い言葉を放つと、躊躇うことなく男に距離を詰めた。
「天と地の双璧の片割れが、女を人質にされっと頭に血が昇るとか、面白ぇなぁ。腹抱えるわ」
「その呼び方はやめろ。それに何度も言わせんなよ。その子は無関係だ。すぐに解放しろ」
けど、到底聞いてはくれない男は、肩を揺らしていやらしく笑った。
白坂くんが、額に青筋を浮かべて目を細くする。
「……なんだ、その目? 俺を睨み殺すつもりか?」
「出来ることならそうしたい。もう一度だけ言う。この子を怖がらせたくない。これ以上は巻き込むな」
拳を握る白坂くんの眼光に、私まで背中に鳥肌が立ち、目を伏せた。
「へー。双璧が寵愛(ちょうあい)してる女か? 白坂凪、貴様の代わりにこの女を生贄にしてもいいんだぞ?」
「そうだぞ白坂。あの人への手土産ってことで手を打たねぇか? まぁ、あの人ならこんな女、すぐ壊しそうだけどな」
ククッと笑うピアスを刺した男の言葉に、私の身体を戦慄が貫いた。