【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
逃げるなら今しかない……っ!
渾身の力で地面を蹴った私は、よろよろと白坂くんの後ろまでなんとか走った。
「……悪い、水瀬」
銀髪男の腕をひねりあげたまま、白坂くんが小声で一言零した。
男の腕はいつ折れてもおかしくないくらいだと思い、ゾッとした私は口を閉ざした。
「大丈夫!? 小夏……っ!?」
澪ちゃんがそっと私の肩を撫でてくれる。
「自業自得だろ、白坂凪……っ」
「そうだ。あの人も痺れを切らしてる。テメェで撒いた種を刈るまでは……お前にもう逃げ道がないことくらい、わかってんだろ?」
後ろで立ち尽くすふたりの男が、白坂くんを睨みつけ、次々に口を開いた。
「そこまで俺に恨みがあるなら、テメェで来いって伝えておけ」
「離して……くれ。腕が……っ、折れる……」
銀髪男が情けを乞うように声を絞り出した。
「折れればいいだろう?」
「痛ぇぇ……っ、し、死ぬ……」
「へぇ。それはいいな? そしたらもう、金輪際テメェは誰のことも無差別に殴らなくて済むからな」