エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる

「悪いが、なかなか彼女との時間は持てなくなるかもしれん。転勤先は……」

 検事正の口から出たのは思いもよらなかった場所で、俺はしばらく呆然となった。検事正はそんな俺に苦笑をこぼして立ち上がる。

「ま、正式に辞令が下りるのはまだ先だ。ゆっくり心の準備をしておくんだな」

 検事正は俺のそばまで来てそう言うと、立ち尽くす俺を残して部屋を出て行ってしまった。



 突然の転勤話が頭の中がうまくまとまらないままぼんやり帰り支度をして、庁舎を出る。そして外を歩き出そうとした時だった。

 コツコツとヒールが追いかけてくる音がして、「津雲検事!」と呼び止められた。

 振り向くと、ベテラン女性検事の益子さんが心配そうな顔で俺を見ている。

「益子検事……どうかしましたか?」
「どうかしたじゃないわよ。あの真面目で可愛らしい、あなたの片腕の浅見さん。さっき女たらしの三船に連れられて帰っていったけど、大丈夫? まさか、そういう関係じゃないわよね?」
「……なんですかその不愉快極まりない話は」

 俺は途端に険しい表情になり、つい、益子検事に鋭い視線を送りながら低い声で迫った。

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