エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
「私を睨まないでくれる? ……でも、確かに心配よね。三船って前科があるから」
益子検事は嫌悪感をあらわにしながらそう言った。
三船の前科、か……。俺も、その噂は耳にしたことがある。しかし、いくらアイツでもそこまでのことをするだろうか。
司法修習生の時、三船とは同じ裁判所に配属されてともに経験を積んでいた。その時のアイツはとても真面目で、俺に匹敵するくらい正義感も強かった。
ただし女癖だけは当時から悪かったから、〝前科〟の噂に関しては半信半疑というところなのだが。
「俺が着任した時にはすでにヤツは退職していましたので、その前科についてはよく知らないのですが……本当なんですか? 執務室で、その……女性事務官と事に及んでいたとは」
「ええ。本人たちも認めてたしね。細かいことは上がうまく隠して依願退職という形にしたけれど、ふたりとも懲戒免職みたいなものよ」
たしかに、そんなことが明るみに出たら、検察の信用問題になるだろう。しかし、だからといって不祥事を隠した上のやり方には賛同できない。検察が嘘をついてどうする。
それとも、この事件にはもっと深い闇が……? と、今は検察が抱える闇に思いを馳せている場合ではない。
愛する和香菜が今、三船と一緒にいるのだ。なんとかしなければ。
「……あら? 噂の色男が」
不意に益子検事がそう言って、敷地の外に目を向ける。その視線を追うと、なぜかは知らんがにっくき三船がこちらに向かって走ってくるではないか。