エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
「でも、やみくもに捜したってしょうがないだろ」
「やみくもじゃない。……心当たりがある」
そう言い残して歩きだした俺の脳裏には、ある女性の顔が浮かんでいた。
昨年末、和香菜と初めてデートをした日だ。水族館を楽しんだ後で訪れたショッピングモールで、俺は一瞬彼女のもとを離れてジュエリーショップに入った。
サプライズでプロポーズリングを購入し、その日のうちに渡そうと決めていたからだ。
あの時、そんな俺の前で、カップルが喧嘩を始めた。
内容は他愛のないものだったと思うが、そのうち男の方の口調が乱暴になっていき、最終的には無理やり恋人の手を引いて店を出ていった。
すれ違った時に見えた男の表情に残虐の色を感じ取ったため、俺は一瞬悩んだのちすぐにふたりを追いかけた。
案の定、人目につかない非常階段で女性は暴力を受けていて、俺が駆け付けた瞬間、男が逃げていく足音を聞いた。
『大丈夫ですか』と声を掛けた俺を、女性はひどく怯えた目をして見つめる。安心させるために職業が検事であることを伝えると、彼女は目に涙を溜めて言った。
『検事さん……私を助けてくれますか?』