エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる

「銀座の店だ。ここからなら歩いて行ける」
「ありがとうございます。そういえば、お住まいはどちらでしたっけ?」
「すぐそこ。虎ノ門(とらのもん)
「ええっ、すごい……。初めてこの辺りの家賃相場を見た時あまりに桁違いだったので、この辺りはきっと悪どい政治家や官僚たちの巣窟に違いないと決めつけていました」

 自分も公務員であることは棚に上げてそう言った私に、津雲さんはうなずく。

「ま、一理あるかもな。しかし、俺は悪どいことはしていない」
「もちろんわかってますよ。津雲さんのことですから、仕事に集中なさるために、職場から近い場所にお住まいを選んだんでしょう?」
「ああ。……あと、仕事以外とくに趣味もなく、恋人もいない俺には、気に入った部屋に住むくらいしか娯楽がないからな」

 自嘲気味に言った彼の横顔には、どことなく哀愁が漂っていた。

 どうやら、いろんな人から恋愛云々についてとやかく言われることが続き、元気がないみたいだ。

 私を食事に誘ったのも、私なら彼を否定しないとわかっているから、とことん励ましてほしいのかも。

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