エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる

「私……検事である津雲さんなら、なんとか私をこの男から離れさせてくれるんじゃないかって、すがる思いだった。何度か警察にも相談したことがあるけれど、いつも痴話げんか程度にしか思ってもらえなくて……。そのうち、犯罪の片棒を担がされるようにもなると、警察に行くのも怖くなって」

 涙ながらに語る舞美さんに、胸が痛くなる。

 彼女は精神的に相当追い詰められていたのだ。だから、偶然に出会った検事の津雲さんが、救世主のように思えた……。

「だけど、津雲さんはあなたのことしか見ていない。邪魔だって思った。それで、最初は津雲さんの弱みを握れば彼が手に入るかと思って、自宅に隠しカメラを仕掛けて彼を誘ったけど失敗して……。つい、この男に津雲さんの話をしたら、『そいつが舞美だけ見るようにしてやろうか? ただし、俺からは一生離れらんねえけどな』と絶望的なことを……。私、もうなにもかもどうでもよくなって、あなたの拉致に協力してしまった……」

 私は静かに首を横に振り、彼女にだけ聞こえる小声で話す。

「……しんみりするのは後。今は、どうやったらこの状況を脱せるのか考えないと」
「そんな……無理よ……」
「あきらめちゃダメ。あんな男に一生支配されたままの人生なんて嫌でしょう?」

 つい声が大きくなった私の言葉が聞こえたのか、時田が嘲笑を浮かべた。

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