エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる

「運のいい女だな。……おい、ずらかるぞ」

 見張りのふたりにそう声を掛けると、時田は私と舞美さんを放置してそそくさと倉庫から出て行こうとした。

 しかし……ちょうどその時、ガラガラと音を立てて倉庫のシャッターが開いた。

「今さら逃げようとしても無駄だ。すでにこの倉庫は警察が包囲している」

 低い声で告げ、男たちの前に立ちはだかったのは、普段の何倍も深く眉間にしわを刻み、怖い顔をした津雲さん。そして。

「ご愁傷様。この男に睨まれたらもう逃げらんないよ。しかし、よりによって検察事務官を拉致するとは……半グレのリーダーともあろう男が、けっこうお馬鹿さんなんだねえ」
「津雲さん! それに三船さんも……!」
「和香菜……」

 私の声を聞きつけた津雲さんが、すぐさまこちらに駆け寄ってくる。私は心から安堵して、彼が目の前まできたところでぺこっと頭を下げた。

「ごめんなさい、ご心配をおかけして……」

 そして顔を上げた瞬間、とてもつらそうな顔をした津雲さんに、ガバッと抱き寄せられた。背中に回された腕には、痛いくらいに強い力がこめられている。

 しかし、耳元に聞こえた声は、頼りなげに震えていて。

< 138 / 166 >

この作品をシェア

pagetop