エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
「……そういう聞き方は、ずるいです」
思わず彼から視線をそらして呟くと、津雲さんはふっと苦笑して私の頭を優しく撫でた。
「悪い、今のはちょっと意地が悪かったな。しかし……和香菜が勝手に誤解して突っ走るからだ」
誤解……? なにが誤解だっていうの?
怪訝な眼差しを大雅さんに向けると、彼はクスッと笑って言う。
「誰が地方の窓際部署に飛ばされるって?」
「えっ? だって、噂で聞いて……。益子検事も〝寂しくなるわね〟って」
「転勤……というか異動な。俺も最初検事正に〝転勤〟と聞いて遠方も覚悟していたんだが、俺を脅かすための冗談であえて転勤と言う言葉を使ったらしい。だから、和香菜が心配するような辺鄙なところに飛ばされるわけじゃない」
予想外の展開に私は目を瞬かせ、ぽかんとする。
転勤じゃなくて異動……? じゃ、じゃあ、私が涙をのんで別れを決心していたのって、もしかして、とんだ取り越し苦労だったんじゃ――。
自分の早合点に愕然としていると、津雲さんが少し緊張を滲ませた声で告げる。
「特捜部から、声がかかったんだ。俺を捜査員に加えたいと」
「特捜部……って、まさかの同じ地検内ですか!? いやでも、そんなことよりすごいです! 大抜擢じゃないですか!」
私は思わず興奮して立ち上がった。