エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる

「同感だ。しかし俺の方がもっと手に負えない。そういう異性の感情の機微を〝わかりたい〟とすら思えないんだからな。それが自分なんだから仕方ないと開き直っても、時々落ち込むよ。俺はこのまま誰のことも愛すことなく死んでいくのかって。だからこそ、検事正に言われたことがこんなに堪えているんだと思う」
「津雲さん……」

 無慈悲で冷酷な〝鬼畜の津雲〟がそんなことで悩んでいるなんて……。彼の気持ちは痛いほどわかるけど、そんなに落ち込まないでほしい。

 だって、津雲さんは私の理想とする正義の検事なのだ。仕事にも、自分自身にも、いつでも胸を張っていてくれないと、私、困ってしまう。

 私は彼をまっすぐ見つめながら、必死で言葉を紡ぐ。

「恋愛なんてしなくたって、津雲さんに心を救われている人はたくさんいます。犯罪の被害に遭った人や、その家族……。罪を犯した本人のことだって、起訴して罪を償わせることで、津雲さんは救っているんです。それは、誰にでもできることではありません」

 話しだしたら止まらなかった。ずっと自分の中でくすぶっていた思いが、爆発する。

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