エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
そう言って微笑みかけたのと同時に、ちょうどトイレの前に到着した。津雲さんは無表情でぼそっと「着いたぞ」と言い、私の体を離す。
もう、せっかくお酒の力を借りて、普段は言えないことを伝えてみたのに……。
彼の反応に物足りなさを覚えつつ、無事に用を足して個室内の小さな洗面台で手を洗う。目の前の鏡に映った自分は予想以上に頬が赤く、酔っ払い特有のぽわんとした顔をしていた。
「あ~……これは上司に見せていい顔じゃない」
思わずひとりごちてみるものの、今さらどうしようもない。月曜日に出勤したら、彼に諸々謝らないとな……。
そんなことを思いながら、相変わらずおぼつかない足取りでトイレを出た。
「お待たせしてすみませ――」
そう言いかけた私の目の前で、津雲さんは見知らぬ男性と向き合っていた。男性はスーツ姿ではあるけれど、ポケットに片手を入れた立ち姿やパーマのかかった茶髪が、なんとなくチャラい印象だ。
男性は私の姿に気づくと、津雲さんにからかうような視線を向けた。