エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる

 事務的な会話以外、ひと言も津雲さんと話さないまま定時が近づいてくると、私はなんとなく焦ってきた。さっきぼんやりカレンダーを見ていて気づいたのだが、私たちは今日が今年の仕事納めなのである。

 年末年始の休暇の間に一度ずつ当番で勤務する日があるが、お互い別々の日。

 ということは、この変な空気を引きずった状態で、お正月を迎えるわけで……。

 できれば今日の内に仲直りがしたいけど、さっきあれだけひどいこと言っておいて、私から歩み寄るのは難しいよ……。


 結局仲直りのきっかけをつかめないまま十八時頃に仕事を終えた。

 本当はもっと早く終わっていたのだが、今年最後の勤務ということで、雑然と積んでいた資料をきちんと並べて書架に戻したり、デスク周りを整理整頓したりしていたのだ。

 津雲さんにも手伝えることがないか尋ねてみたものの、『自分の仕事が終わったら帰っていい』と言われてしまったので、もう執務室にとどまっている理由がない。

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