エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
私はのろのろ帰り支度を済ませると、「あの……」と彼に声を掛ける。しかし、その後なにを言おうか考えていなかったので、目が合ったまま気まずい沈黙が流れる。
あーもー、なにやってるんだろう、私……。
「……帰らないのか?」
「帰ります、けど……その前に……なんというか」
あなたとちゃんと話さないとと思って。素直にそう言えればいいのに、大事なところで黙りこくってしまう。
しばらく私がなにも言わないので、津雲さんは待ちくたびれたかのように書類を手にして、デスクから立ち上がる。
そして執務室を出て行こうとするので、咄嗟にドアの前に立ち彼の行く手を阻んだ。
「どいてくれないか? 検事正に決裁をもらいに行くんだ」
彼の口調は素っ気なく、私がなにを言おうとしているかなんてまるで気になっていないみたいだ。そんな態度が、また私の胸にいやな感情を呼び起こし、心をかたくなにしていく。
「……どきません」
「どくんだ、浅見」
「いやです」
「どかないなら……」