エリート検事はウブな彼女に激しい独占愛を滾らせる
津雲さんが法廷に立ったときの、堂々たる立ち居振る舞いが自然と頭に浮かび、ついうっとりと意識が遠くに行っていたその時。
「ま、その辺はよく母さんと話してくれ。母さん、和香菜に見合いをすすめるつもりらしいんだ」
「は……? お見合い……?」
どうして急にそんな話が? 母はいったいなにを考えているの?
思わず顔をしかめるが、父はそれ以上何も説明してくれず、ずっと困ったような笑みでハンドルを握っていた。
実家は、住宅街の中に立つ、ごく普通の一軒家。年々古くなってはいるが、マメな母がきちんと手入れをしているので、清潔感のある家だ。
リビングダイニングに入ると、エプロン姿の母がのんきに「おかえり~、和香菜」と私を出迎えたが、私はむすっとして返事をしなかった。しかし母に意に介した様子はなく、一旦お茶を淹れにキッチンへ引っ込む。
それまで私のそばにいた父は、これから始まる母娘のバトルを警戒してか、そそくさと二階へ逃げていった。