先生!好きだからっ!!~どうしたって忘れられない人はいるものです~
向こうで泳いでるイワシみたいなちっちゃい魚の群れを見ながら、大智がなにやらボソボソ言っていたけど、聞こえなかった。

「なんでもないって。幸せになろうぜ。俺たちも。」

「わたしたちも?」

「うん。彩実だってなれるさ。きっと報われるよ。その想い。」

「え?」

大智はわたしの手をとって、指をからめて恋人つなぎをした。

「大智?」

「恋人ってさ。こうやって、手つないでふつう歩くもんだろ?恋人のフリだし。そうしよ。」

「え?いいけど…」

大智となら別にいい。

「今だけ…俺のもんでいて。」

大智とわたしは水槽を眺めながら歩いた。

大智が小さくつぶやいた言葉は、水族館の中の子どもたちの笑い声にかきけされた。

ずっと来たかった水族館…
今だけはいろいろ忘れて楽しもうと思った。

優雅に泳ぐ魚みながら、大智と笑いあった。

楽しいな…
ねぇ…大智…。



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