先生!好きだからっ!!~どうしたって忘れられない人はいるものです~


「あら?伊奈先生は?…」

テストの一件以来、市村さんが常に伊奈先生にまとわりついてるのを見かけるようになった。

今日の昼間はわたしが授業から帰るとわたしの斜め後ろの伊奈先生の席の横にぴったりとへばりついて熱心に何か話していたし…

ときどき部活帰りにまで伊奈先生を待ち構えている始末…

そのうち脇目も降らずに伊奈先生に会いに来る市村さんをみて生徒たちが顔を見合わせてコソコソ内緒話をするようにまでなった。

今年のインターハイ予選は男バレはベスト4までいった。ほんと、あとちょっと。
あとちょっとでいいとこまでいってる。

今年から全日本代表でオリンピックやワールドカップに出ていたコーチがつき、かなり強くなっていた。
けど、インターハイ、負けてしまったから、今はちょっと夏休み合宿前のダラダラ期に入ってしまってるのかもしれない。

今日は伊奈先生も早めに帰宅していた。
なので男バレの自主練前にわたしが伊奈先生の変わりにキャプテンに体育館の鍵を預けに来たとこだった。

「伊奈っちなら帰ったよ。」

男バレの部員たちが顔を見合わせてる。

「え?そうなの?」

露骨に残念そうな表情…

市村さんって…ほんとは教師向いてないんじゃ…?って思ってしまうわたし…

「なあ、市村センセ。伊奈っちのこと好きなの?」

ニヤニヤしながら聞く部員たち。

「え?そ、そんなこと…」

市村さんはしどろもどろで答える。

「やめとけって。伊奈っちの婚約者めちゃ美女だから。勝てねーし。」

「え?婚約者?」

市村さんが素っ頓狂な声をあげた。

部員たちは市村さんの表情に笑いをこらえている。

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