レーセル帝国物語 皇帝陛下に見初められた侍女見習い
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――慣れ親しんでいる四阿まで来ると,わたしの緊張はだいぶ解れてきた。
「さあ,レオン様。お聞かせ下さい。どうしてわたしを側室としてお選びになったのか」
わたしはできるだけ声を落として,レオン様にお訊ねした。
「なんだ?気に入らないのか?」
"気に入る・入らない"の問題ではない。……そりゃあ,わたしにとってはとても身に余る光栄ではあるけれど。
この国では,男女問わず重婚が好ましくないこととされているのだ。
レオン様ことレオナルド陛下には,アン様というご立派な皇后がいらっしゃるのに。それも,相思相愛の仲だというのに。わたしとも身分を隠して恋仲になり,そのうえお子までもうけようなんて!
「そういうことではなくて!いいですか?この国では一夫多妻が禁じられているんですよ。なのに,皇后であるアン様にお子が望めないからって,他の女にお子を産ませようなんて!ちょっと納得がいかないだけです」
しかも,わたしは少し前まで恋も知らなくて,まだ男性との交わりも知らない乙女なのだ。