レーセル帝国物語 皇帝陛下に見初められた侍女見習い
レオン様がやっと事情を理解して下さったので,わたしは頷いた。
「ただ……,少々難しいかもしれません」
「どういうことだ?」
わたしの両親を説得される気満々らしいレオン様は,後ろ向きなわたしの発言に眉をひそめられる。
「まあ,母は大丈夫だと思いますが……。問題は父なんです。わたし,お城のお勤めをすると決めた時にも両親をどうにか説得して、やっと許してもらえたんです。なので,『後宮に入るなんて話が違うじゃないか!』って父に怒られるんじゃないかと思って……」
お城に上がる時だって,「ポール兄さんが一緒だから」と両親(特にお父さん)が折れてくれたのだ。
そこまでして侍女見習いになったのに,まだ二月ほどで無責任に仕事を放り出して後宮で楽な暮らしを始める娘をお父さんはどう思うのかしら?
「裏切られた」と思われなきゃいいのだけれど……。
「――分かった。それでは,俺からそなたの故郷へ出向くとしよう。そなたの両親に直接会って,説得を(こころ)みようじゃないか」
レオン様の口から飛び出した思わぬ言葉に,わたしはとにかく驚いた。
「……ええっ!?レオン様が両親に会いに行かれるのですか!?父をお城にお呼びになるのではなくて?」
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