レーセル帝国物語 皇帝陛下に見初められた侍女見習い
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「――というわけでアリサ。わたし,明日は一日いないから」
宿舎の部屋に戻ったわたしは,アリサに夕方のレオン様との面会のことを話した。
もちろん,"レオン様"の正体は彼女の言った通りやっぱり皇帝陛下で,側室になるという話にも前向きでいることも……。
「なるほど。どうりであんた,夕食の時にソワソワしていたわけね」
この宿舎では,食事は朝昼夕と三食とも,他の女官の人達と一緒に食堂で摂ることになっている。
いつもはアリサと二人でワイワイにぎやかに食事しているけれど,今日の夕食の時は騒ぐ気分になれなかった。
「えっ,ソワソワしてた?アリサってばよく見てるわねえ」
アリサの観察眼に,わたしは舌を巻く。
「ええ,なんだか落ち着かない感じ?お父さまに何て言われるか不安なのね」
「……ええ」
まだ一緒に働き始めて二月ほどしか経っていないのに,彼女にはわたしの心の中がお見通しらしい。
「お城で働きたいっていうワガママも聞き入れてもらったばかりなのに,今度は後宮に入るなんて言ったら,お父さんが何て言うのか……」